PR記事 Vol.10 かねた一郎 前川 健生

PR記事 Vol.10 は24日出演のかねた一郎 前川 健生さんです♫
                               写真:近澤幸司


前川 健生
愛知県出身。東京学芸大学大学院音楽コース修了。日本音楽コンクール入選、東京音楽コンクール入選、日光国際声楽コンクール大賞、ソレイユ声楽コンクール第1位等受賞歴多数。東京二期会オペラ劇場では「ダナエの愛」にてデビュー後、「ばらの騎士」テノール歌手役、「三部作-ジャンニ・スキッキ」リヌッチョ役などこれまでに11プロダクションに関わる活躍。2021年8月東京二期会オペラ劇場「ルル」アルヴァ役で充実した歌唱で高い評価を得る。また遊 音楽企画代表としてこれまでに全国で公演を主催。2017年には東日本大震災復興音楽イベントを開催、福島県広野町より広野夢大使の委嘱を受ける。宗次エンジェル基金奨学生。二期会会員。



中学生の時、大急ぎで教室に走り込んできたクラスメートに対し
「いやぁ、君は曲がった鉄砲玉のやうだな」と僕が言った瞬間、クラス中の空気がサーッと引いていくことがわかった。
いや、ほら、永決の朝のさ、きょ、教科書のあれだよ!我ながら上手いこと言ったつもりだったのにおかしいな、僕が説明すればするほど余計に空気が澱んでいくのであるチックショー!

思春期真っ盛り、クラス内カースト制度にヤキモキする中学生たちの間で交わされる「KY」という言葉は僕のためにあるような言葉だった。そんなKY(ケンショー寄るな、とも訳される)な僕だから、驚くくらい友達が少なかった。友達が少なければ膨大な時間を1人で過ごさねばならない。
当時既にパソコンが普及していたため、健全Boy前川少年もそれはそれは健全に、インターネット上の電脳世界にダイブしていた。いかがわしいサイトを巡るうちに、何故か我が家のネット回線がカザフスタンに繋がり、莫大なネット使用料の請求がきたためママンに呼び出された僕ちん。しばらくPC使用をおあずけにされた健生Boyに残された暇潰しは、もはや読書しかなかったのである。

自慢だが当時純文学という純文学を読み漁っていた僕。それは「純文学とか読んじゃうオレ、マジかっこえーんじゃね?」という中二病的ナルシズムだけが原動力となり僕を衝き動かしていたのである。この調子なら愛しのヨーコちゃんもきっと僕に振り向いてくれるに違いない!そう、そんな僕もいよいよ読もうとなったのが、宮沢賢治であった。

宮沢賢治の文章は、はっきりいって読みにくい。登場人物は血が通ってるのかわからないような、妙な言い回しが多いし、宮沢賢治の作品を読んでいくには、読者側も相当のイマジネーションを働かせねば頓挫してしまうような難しいシーンがいくつもある。中学三年生の夏休みをかけて僕は宮沢賢治作品を読み耽っていた。『銀河鉄道の夜』のジョヴァンニとカムパネルラの会話の「ほんとうのさいわひ」の下りを読んだ時、宮沢賢治という作家の底なしの無垢さ、純粋さ、清らかさに胸を打たれた。その勢いのまま、この作品を題材に読書感想文を書いた。どういうわけかその時の感想文がやたら学校の先生方から評価され、僕の感想文は愛知県読書感想文大会の最終選考残り3作品まで残ってしまったのである。

「やっぱ僕って本気出したらこんなもんだな!」など意気揚々としていた、ふふ、この分なら片想い中のヨーコちゃんも、僕に振り向いてくれるに違いない!はぁぁ心がぴょんぴょんするんじゃあ!

数日後、読書感想文県大会の結果を先生から伝え聞いた。

「内容は君のがかなり良かったらしいんだけど、あまりにも字が汚かったから落選しました。」

ちなみにその後ヨーコちゃんにも彼氏ができた。

みんな消えてしまえ。


さて、宮沢賢治の作品をオペラ歌手として歌うのは今回が初めてである。『どんぐりと山猫』において私が演じる「かねた一郎」君は小学生にしてはちょっと異様に完成されすぎた少年である。この作品で狂気を感じるのはもちろんどんぐりの裁判であるが、実はこのかねた一郎君も負けず劣らずぶっ飛んだ少年なのである。のび太君のような親しみやすさと出来杉君のような完成感が混在しているこの役をどう演じるかを日々悩んでいる。
少し不器用な、だけれど底なしに純粋なこの作品に音楽家として触れられることはなによりの幸せである。私も大変に不器用な歌手であるが、中学生の時分に賢治作品に触れたあの時の心持ちを思い出しながら取り組み続けたいと思っている。




なんて少し高尚な気持ちで書きましたが、本当はそんな気半分もないかも知れません笑 とにかく明るく面白いオペラ!焼肉おっくん(徳島店)食べて、おっくんをはじめどんぐりの狂喜乱舞、哀愁漂う別当さん、かっこかわいい山猫さん、そして一郎君の活躍をお楽しみ下さい!
 このようにPR記事を掲載させて頂いていると、文章に色々なお人柄が映し出され、とても面白いなと思う今日この頃です。
 前川さんは真面目な顔をして思いっきりふざけた事ができるオペラ歌手なので、かねた一郎くんが子どもたちにとってもウケて、みんなついつい一郎の真似をしてしまうようになりました!
 
 前川さんへの応援、どうぞ宜しくお願い致します(^O^)
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